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イヴ・サンローランの色彩

今日は自宅で過ごす一日。
休日のファッションは、自分のための装いを楽しみます。

選んだのは、イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュの
リブタートルとシルクジャカードのパンツに、
グレイパールのネックレスを二連にして、
タートルのチャコールグレイのブレスレットとともに。
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今からおよそ15年前、まだイヴ・サンローランが現役で活躍していた頃のものです。

西梅田にあるハービスプラザの1階に
イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュがあった頃、
通りがけにディスプレイを見るのが楽しみでした。

数体のマネキンが美しい色彩の服やビジューで彩られ、
マネキンの装いも、よく入れ替わっているものでした。

真夏のお出かけに気品を添える明るいオレンジ色の麻のワンピーススーツ、
流れるラインが美しい、黒いシルクのソワレ、
黒いタートルニットとウールパンツの上からさりげなく羽織られた、
タートルチェックに織り込まれた鮮やかなグリーンがはっとするウールのジャケット。
手仕事でていねいにつくられたガラスビーズやシルクタッセルのアクセサリーも、
これまでに見たことのない奥ゆかしく華やかな色彩を放っていました。
それは、日本とはまたひと味違った、パリの空気や南仏の香りを伝えるものでした。

そこで目にとまった深いブラウンのベルベットのスカートが、
イヴ・サンローランの服との初めてのつながりでした。

当時、私を担当してくれた店員さんは私よりも随分若い方でしたが、
物腰がとても洗練されており、その姿から、
一流ということについてたくさんのことを教わったように思います。

また、店長の方のコーディネートのセンスが実に素晴らしく、
着ていくシーンにあわせて、お店の各所に配置している服を
テンポよく集め、セットアップをいくつも提案してくださいました。

また、スカーフやストールのリボンの結び方を、
ふんわりと上手に決めるコツを伝授してくださいました。
それは、「もう、ここのお店ごと買いたい!」 と思わせる、見事な手腕でした。

その品格のあるおしゃれやサービスからもっと学びたいと思い、
当時会社員だった私はお小遣いを貯めては恐る恐る、
でもワクワクしながら、お店を訪ねたものです。

2002年にイヴ・サンローランが引退しして、
クリエイティブ・ディレクターが入れ替わり、
2008年にイヴ・サンローランの訃報を知ってからは、
ブティックの経営権もファッションテイストも変わり、
自然に足が遠のいてしまいました。

足繁くブティックに通った頃のことを、
今も懐かしく思い出します。

イヴ・サンローランが教えてくれた色彩は、
私のおしゃれの原点のひとつでもあります。
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