「舶来品」を取り入れる

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そういえばこのごろ、
「舶来品」という言葉を、
あまり聞かなくなりました。

舶来品という言葉で思い浮かべるのは、
スーツの生地やネクタイ、
万年筆などなど。

それは、西洋で端正に手づくりされた
品々で、高級品を指す、
象徴的な言葉でした。

ところが、バブル経済の崩壊の頃から、
世界の生産拠点が
中国などの新興国に移ります。

それから次第に、
多くの品物が手ごろな価格になり、
同時に、舶来品という言葉も、
あまり使われなくなりました。

そして、舶来品は今、
「輸入品」という無機質な言葉に
吸収されてしまいました。

舶来品という言葉とともに、
遠い日の、異郷への憧れまでが失われたようで
ノスタルジーを感じます。

舶来品の魅力は、
品物を身につけたり使ったりすることで、
その色あいやかたちなどから、
日本にはない、独特の空気感を
身近に味わえることです。

そして、舶来品を大切に
使いつないでいる人には、
生きることの心地よさに敏感な、
品のある人柄がしのばれます。

だから、舶来品好きの人には、
自分と同じように舶来品を使う人を見かけると
親しみを感じ、言葉を超えたつながりを覚えるのです。

着回しアイテム、グレンチェックのジャケット

今日の午後は、
ボランティアワークの打ち合わせが開かれます。

いつもなら、軽装で向かうところですが、
今日はオフィスビルの会議室で開かれるので、
ジャケットを羽織りたい日。
コーデ

グレンチェックのウールジャケットは、
無地のジャケットよりも
フォーマル感はやや落ちますが、
生地にいくつかの色が織り込まれているものは、
その中のいずれかの色を
シャツやボトムスに取り入れれば、
統一感のある装いに早変わりするので、
大変、便利なアイテム
です。

自分の顔色に馴染みのいい色が入っている
ジャケットを一着持っておくと、
着合わせを増やしてくれ、重宝します。

ジャケット姿を完璧なものにするために、
特に、肩幅と袖までの長さは、羽織る前に、
必ずチューニングしておきましょう。

~ジャケットの特に大事なチューニング・ポイント~

■ジャケットの肩幅が、
自分の肩幅にぴたりと沿っている
OLYMPUS DIGITAL CAMERAジャケットが大きすぎると、
ひとまわり太って見え、
ルーズな印象になりがちです。
また、お直しをすると高くつくだけでなく、
失敗することも多いのが、肩のシルエット

デザインがとても気に入ってとしても、
このポイントは、はずせません。
買う前に必ず試着して、チェックしておきましょう。
サイズの目安は、肩のラインが1センチ程度、
指でつまめること
です。

■袖の長さは、シャツの袖口が
 1~1.5センチ出る程度に
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手もとの見た目は、顔の表情以上に、
その人の印象を物語るものです。
腕をまっすぐに降ろした状態でみて、
ジャケットからのぞくシャツの袖の長さ、
すなわち手首の骨の出っ張りから
1~1.5センチほど短くなるように
サイズ調整しておきましょう。

知的に見られたい、という人は

20代から30代の働く女性を対象とした
イメージコンサルティングのなかで受けるご要望の中に、
格好良く見せたい」「知的に見られたい
という声が、多くあります。

職場で、プロとして知的な印象を与え、
周囲の信頼を集めることができれば、
仕事もプライベートも、
さらに楽しくなることでしょう。

知的に見られるためには、
内面と外見の両方からのアプローチが
大切
と、私は考えます。

まず、内面からのアプローチは、
「気づく力」を磨くことです。
具体的には、いつもは見過ごしているような
身近なものごとに、あえて意識を向けてみること
です。

身づくろいの方法や仕事のディティール、
職場や家のなかの物の配置、
身近な人への接し方、
ニュースの中で腑に落ちない内容、
などなど、意識を向けるだけで、
次々と「気づく」自分に驚くことでしょう。

そして、気づいたら、そのままにしないで、
ひとつずつ、やり方やとらえ方を変えてみます。

すると、仕事の場面も含め、
勘所に「気づく」力が磨かれ、
直感力が冴えてくるのです。

資格や肩書きを持つことも、
素晴らしいことですが、
それらはあくまで知性を示すための
必要条件に過ぎません。

いかに自分の心をピュアに保ち、
新しいアイデアが頻繁に降りてくるような、
高い感度のアンテナを持てるかが、
気働きの能力すなわち、知性の本質
なのです。

一方、外見からのアプローチで大切なのは、
何よりも、服や小物に清潔感があることです。
そして、知的な印象を叶えるのに
一番力を貸してくれるアイテムの、
「ジャケット」を活用すること
です。

今日のコーディネートは、
グレープ色のニュアンスを含んだ
ウールツイードのジャケットが主役です。
コーデ

厚手のジャケットなのに「きちんと感」があるのは、
程よくウエストと袖を絞り込んだデザインだから。

ライトグレーを含んだアウターは、
顔まわりのシミやシワを目立たなく整え、
顔色を明るくする効果があります。

一方、グレーのアウターは、人によっては
顔色が悪くしてしまうこともありますので、
購入を検討する場合は、蛍光灯などの
自然光に近い環境で試着して、
顔映りをチェックしてみましょう。

また、こちらのジャケットぐらいの、
お尻が隠れる程度の着丈は、
スカートにもパンツにも合わせられ、
着回しに重宝するので、お薦めです。

さて、インナーとパンツは、
ジャケットの色みと馴染むプラム色で統一して、
ジャケットの印象を引き立てています。

首もとには、
ツイードの柔らかい風合いに対比するような、
ホワイトゴールドの光を足して、
顔まわりを引き締まった印象に整えます。

また、インナーが胸元を開けた
女性的なデザインなので、
センタープレスの効いたパンツで、
ボトムズを控えめに見せます。
靴は少し辛口のストレートチップ・シューズを合わせて、
全体として、しなやかで凛とした雰囲気をつくります。

知性と教養が一年の中でもとくに脚光を浴びる秋。
知的な印象を添えるおしゃれを取り入れて、
「気づく」力をアップしてみましょう。

普段使いでスウェード服を愉しむ

穏やかな晴天に恵まれた休日です。
街路樹や山の木々の葉の色が、
ほんのりと秋めいてきました。

こんな日のお出かけには、
秋の黄金色の実りを感じさせる、
あたたかなスウェードのブラウスをまといたくなります。
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こちらは、パンチング加工の施された、
スウェードチュニック。
中世風の、肩のデザインと折り返しの袖が、
上半身にソフトで繊細な印象をまとわせてくれます。

チュニック丈のブラウスには、パンツでもよく合うのですが、
今日は膝丈のウールスカートと組み合わせます。
濃い黄色に良く馴染むのは、濃い紅色。
「朽葉(くちば)」という、日本伝統のかさねの色目です。
朽葉

ベルトでゆるくウエストマークをすることで、
スウェードの柔らかいドレープをつくり、
ほっそりとしたシェイプに整えます。

首元には、ちいさな金色の光を、
ネックレスでプラス。

さて、スウェードの服は、
汚れ落としが大変ということで
敬遠する方も、多いかも知れません。

私は、接触などでついた黒っぽい汚れは、
専用の柔らかい消しゴムでそっとこするか、
モゥブレイ2
「リグロン」を綿棒に染みこませて、
そっと叩くように汚れを落としています。
リグロン

また、油汚れには、
靴用のスウェードシャンプーで、
服をまるごと手洗いします。
モゥブレイ色が落ちすぎたな、と感じたら、
今はスウェード用の染料も東急ハンズなどで
取り扱っているので、ある程度、リカバリーができます。

使う前やクリーニングの後などに、
専用の防水スプレーをうすくかけておくと、
汚れが付きにくくなるので、
その後のメンテナンスがラクになります。

この方法は、すべてのスウェード製品に
使える方法ではないかも知れませんが、
あきらめていた汚れが取れることもありますので、
度胸を据えて、試してみる価値はあると思います。

オスカー・デ・ラ・レンタの逝去を悼んで

ファッション・デザイナーのオスカー・デラ・レンタが、
10月20日に他界しました。

オスカー・デ・ラ・レンタは日本には直営店がなく、
あまり馴染みがないブランドです。

しかし、アメリカではファッション界の中心にあるブランドであり、
アメリカのシンボルのひとつ。
ホワイトハウスからレッドカーペットまで、
歴代のファーストレディやセレブリティたちに愛されています。

oscar-portrait(Oscar de la Renta, 1932-2014)

ドミニカ共和国で生まれたオスカー・デラ・レンタは、
絵画を学ぶためにスペインのマドリッドに渡り、
勉強のかたわら、新聞や雑誌に
ファッション画を提供します。

そのスケッチがスペイン駐在アメリカ大使の婦人の
目にとまったことから、彼のキャリアは一気に上昇気流に。

スペインではバレンシアガ、
パリではランバンでクチュールを学び、
「これからはプレタポルテ(既製服)だ」と、
1965年にアメリカに渡り、
ジェーン・ダービーのブランドを譲り受け、
Ocsar de la Renta」のメゾンを立ち上げ、
半世紀にわたり、現役で活躍してきました。

彼の生まれ育ったカリブ海の光と、
ヨーロッパでのキャリアで培った色彩感覚は、
鮮やかな色から控えめな色まで
服に多彩な色づかいを取り入れただけでなく、
まとう人にエレガントな知性と洗練された雰囲気をたたえさせ、
「社会的に成功した女性」のイメージを添えてくれます。

そんな魅力から、アメリカ女性の
表舞台を飾る代表的なブランドとして、
オスカー・デラ・レンタは知られているのです。

オスカー・デ・ラ・レンタ
2015年春 プレタポルテコレクション
(style.com)

ムービー(live.oscardelarenta.com)

知的で上品で優美なデザインが
上流社会の女性たちが社交界で期待される
イメージ演出を後押ししてくれ、
それゆえに多くの女性たちに愛されたデザイナーでした。

アメリカ・ヴォーグ誌の編集長、アナ・ウィンターは、
「彼のデザインは、彼の楽観的で、愉快で、快活で、
ロマンチックな人柄を反映したものでした」
と追悼エッセイのなかで触れています。

オスカー・デラ・レンタは、
「ファッションとは、あなたが生きたいあり方そのものなのだ」と
教えてくれているように思います。

靴の理想の収納方法とは

足元を美しく整えてくれる靴は、
かばんやブレスレットといった
他のアクセサリーとは異なり、
控えめながら、印象に品を添えてくれる
独特の働きがあります。

履き心地が良く、
ワードローブとぴったり合って、
かつ足元を美しく整える靴は
おしゃれの大切なアイテム。

ひとつの服に対して、
いくつかの靴の組みあわせを持っておくと、
おしゃれをカジュアルダウンしたり、
お出かけ着にドレスアップしたり、と
自在な着こなしができるので、
手持ちの服を何倍も楽しむことができます。

また、足元に流行を取り入れることで、
全体の印象を垢抜けさせてくれる効果もあります。

しかし、そんな事情から、
靴は次第に数が増えていきがち・・・。

シューラックやクローゼットの奥に
シューバッグに入れて眠らせてしまい、
そのことを忘れて、ついつい似たような
新しい靴を買ってしまった、
という方もいるのではないでしょうか。

そこで、眠っている靴を
「今、使える」ようにする、
理想の収納方法を手に入れたいもの。

少し手間はかかりますが、

手持ちの靴を”見える化”しておくと、
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いろいろと良いことがあります。
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【靴の”見える化”収納方法】
天気のいい日に靴の写真をカメラでまとめ撮りして、
名刺サイズにカラー印刷し、靴箱に貼っておきます。

私の場合は、撮った画像を名刺印刷用のA4シートに
印刷して、ミシン目に沿って切り取り、
KOKUYOのドットライナーで靴箱に貼り付けています。
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作業をもっと簡単にしたい方は、
ちょっと投資して「チェキ」を使うと良いでしょう。
→「チェキを使った靴の整理術


【靴の”見える化”収納の5つのメリット】

①靴探しの手間とストレスがなくなります。
「そういえばあの靴、どの箱にはいっていたかしら」と
探す手間がなくなり、イライラから解放されます。

②洋服と合った靴選びがスムーズにできます。
「ああ、この靴よりもあっちの靴のほうが
今日の服には合いそうだ」
「やっぱり、靴に合わせて服を替えよう」などと、
お出かけ前に右往左往しなくて済みます。
センスアップと時間短縮の両方が叶うのです。

③正確な色とかたちで、コーディネートできます。
色の記憶は、当てになりません。
“見える化”収納によって、
実際の靴の色とかたちがひと目で分かるようになり、
服に合わせた精度の高い繊細な身づくろいを
すばやく組み立てられます。

④いつもとは違った着こなしを思いつくことも。
写真を一覧で見られるので、
いつもとは違った服との組みあわせに出逢えます。
着回しのバリエーションが増え、
おしゃれが楽しくなります。

⑤ムダづかいを減らせます。
今の自分の装いに必要な靴がイメージできるようになるので、
「何かが足らない」という気持ちがなくなり、
不要な靴の買い物が減る効果があります。

いかがでしょうか。

春と秋の、衣替え前後の時期は
靴の整理にぴったりな時期でもあります。

休日の靴のお手入れとあわせて、
是非、トライしてみてください。

初対面の握手について

今朝は全国的に、
この秋一番の冷え込みとなりました。

昼間との気温差が10度以上あり、
春先に活躍したトレンチコートを、
ニットのうえに羽織って温度調整したい日です。

さて、今日は「握手」について書きます。

最近、テレビの旅番組などで、
海外の初対面の相手と握手を交わすシーンを
たびたび見かけます。
その中で、先方が片手の手を差し出すのを受けて、
多くの日本人はなぜか、両手で握手に応えるのです。
Double-Hander

差し出した手を両手で包まれた相手も、
別段不機嫌な顔をすることもなく、
シーンは移っていきます。

握手という習慣は、日本人にとって、
まさに異文化のアクションそのもの。
日本では日常的に握手をする習慣がないので、
握手を求められる場面に遭遇すると
握り方や力の込め具合など、
さじかげんにとまどってしまうと思います。

さて、欧米文化では、特別な場合でない限り、
両手を使った握手はしません。

というのも、両手を使った握手(Double Hander)は
政治家の握手
と呼ばれ、
「私は誠実だ。どうか、私に信頼を寄せて欲しい」
というメッセージを伝えるために用いられる
からです。

また、両手を使った握手は
通常の握手以上、ハグ未満
の行為と受け取られます。

信頼関係がまだ築けていない初対面の人に
両手で握手をすると、
たいていの場合、相手は
初対面のこの人に、
両手で握手されるような理由があったかな?
」と
違和感を持ち、場合によっては
不信感を覚えることもあるようです。

もちろん、幸運にも、
「親しみを込めて両手で握手してくれたのだろう」と
好意的に受け止められる場合もあるかも知れませんが、
相手にネガティブな印象を与えるリスクを
わざわざ犯す必要もないでしょう。

突然、握手を必要とする場面では、
まずは右手を差し出し、相手の目を見ながら
片手で握手をするのがオーソドックスな方法であり、
相手の感情に波風を立たせにくい方法です。

もし、両手を使った握手をする場合には、
長年会っていなかった相手や、
手紙のやりとりなどで既に人間関係ができている相手と
初めて会うシーンなどで活用する
と良いでしょう。

髪のボリュームが気になりはじめたら・・・

10月に入って2回目の大型台風が過ぎ、
穏やかな秋の天気が戻りましたね。

さて、以前のブログでは、
いつも髪をツヤ良く保つ方法」をご紹介しました。
今回は、髪のボリューム感が少し気になる時の秘策を書きます。

ふんわりと流れのある髪には、
いきいきとした魅力が宿るものです。

髪のボリューム感を演出するために、
いろいろなアイテムがありますね。

部分ウィッグや、ボリュームの出るシャンプー、
あるいは、あえて隠すことでボリューム感を演出する帽子、
などなど。

でも、知っておくと、お金をそんなにかけずに、
ふんわりとした髪を手に入れる方法があるのです。

それは・・・

ドライヤーで髪を乾かす時、「毛を逆なですること」です。
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洗った髪をそっとタオルドライしたあと、
地毛の流れと逆向きに、ドライヤーの風を入れて、
髪の毛が地肌に対して起毛するように乾かしていきます。

地毛の流れを見極めるコツは、
シャンプーの前に、自分の髪の流れを
合わせ鏡で観察しておくこと

プロのヘアスタイリストは、
自分の目でお客様の地毛の流れがわかるから、
この技が難なくできるのです。

まず、最初のドライヤーの出力は、1,000ワット程度にして
7割程度の乾き具合まで、地毛の流れと逆向きに、
少しずつ、風を通します。
このとき、「少しずつ」というのが、キレイに決めるポイントです。

そのあと、ドライヤーの出力を600ワット程度に弱めて、
あせらずじっくりと、
地毛の流れと逆向きに、髪を乾かします。
ここで、10分ぐらい時間をかけられたら、
サロンの仕上がりに近いふんわり感を出すことができます

あとは、いつもの要領で、仕上げたい髪の流れを、
ヘアブローで作れば、OKです。

なんでもない所作にこだわることで
仕上がりに大きな違いが出ます。
是非、試してみてくださいね。

子孫の「顔」に責任を持つということ

「40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て」と言われます。

顔は心の窓。
とくに目や口は、
内面の性格や人格をあらわし、
その人がどう生きてきて、
これからどう生きたいのか、
饒舌に物語ります。

さて、顔はまた、食べ物からも
大きな影響を受ける
と言われているのを
ご存じでしょうか。

人骨から日本人の顔の変遷を調べた
自然人類学者の鈴木尚氏によると、
大名家や歴代の徳川将軍などの
貴族階級の人々の顔には、
次のような特徴があったといいます。

【将軍・大名の顔の特徴】
・顔が著しく長い(高顔)
・顔と鼻の幅が狭い(狭顔・狭鼻)
・鼻梁が高く、鼻筋がよく通っている
・上下のあごの骨が繊細

とくに、将軍や大名は、江戸時代に入って代を重ねるごとに
上下顎骨と咀嚼筋の発育不全が顕著になったといいます。

その背景には、選択した配偶者の影響も
あるでしょう。
しかし、それだけではなく、
将軍や大名が、庶民とは異なり、やわらかい食べ物を
日常的に食べていたことが大きな原因
と言われています。

なぜ、やわらかい食べ物を摂っていたのか。
それは、単に美食をしていたということだけでなく、
毒殺や食中毒を防ぐために、食材を柔らかくなるまで
加熱調理したため、という説もあります。

さて、時代は移ります。
こちらは高校の卒業アルバムをもとに、
50年前と現代の、それぞれ18歳男子の
平均的な顔を、東京大学の原島博氏が
制作したものです。

【50年前の18歳男子の平均的な顔】
50年前の高校3年生(平均顔)
【現代の18歳男子の平均的な顔】
現在の高校3年生(平均顔)

50年前の18歳よりも、現在の18歳のほうが、
細面で、顎も細くなっています。
現代の日本人は、封建時代の将軍・大名と同様、
「顔の貴族化」が急速に進んでいる
のです。

原島氏のシミュレーションによると、
このまま時代が移れば、100年後の
18歳の平均的な顔は、
次のようになるといいます。

【100年後の18歳男子の平均的な顔】100年後の高校3年生(平均顔)

上の顔、シミュレーションのために、
少し不気味で人工的な顔になっているのかも知れません。
時代によって、人の「美」の基準は変わるので、
この顔が良いか悪いかという議論は脇に置いておきます。

問題に思えることは、
食生活の影響から顎の骨が細くなるのに対して、
歯は遺伝子の影響を強く受けるために、
顎に合わせて小さくならないこと
です。

結果、歯並びに大きな影響が及びます
歯の健康は、内臓の健康に直結してゆきます。

このことは、人相学において「顎」の部分が、
その人の晩年運を司るといわれることとも
関連を感じさせます。

そう考えると、100年後の日本人の顔は、
決して、明るい未来像とは言えないようです。

いま、食品メーカーや飲食店が、
消費者のニーズに応えるかたちで
消費者に良かれと思い、
舌触りがなめらかで、
歯ごたえの柔らかな食べ物を
供給してくれています。

しかし、先々の自分や大事な人たち、
そして未来の子どもたちの健康を思えば、
自分の顔への責任を超えて、
口当たりの良い食べ物や食べ方を
見直す時期に来ているのではないでしょうか。

YSLのサファリ・ルック物語

今日の装いは、マスタード・カラーのサファリワンピース。
OLYMPUS DIGITAL CAMERAイヴ・サン=ローランがまだ、リヴ・ゴーシュのブティックで
活躍していた頃の作品です。

yves saint-laurent portlait2(Yves Saint Laurent, 1936 – 2008)

このワンピースを手に入れてから、
およそ20年が経つというのに、
いまなお色あせずに通用するデザインに圧倒されます。

イヴ・サン=ローランがサファリ・ルックという
モードを生み出したのは、1968年のこと。

こちらは、モデルのVeruschkaがまとう、
サン=ローランの最初のサファリジャケット
(撮影 Franco Rubartelli)。
safari今から45年前の写真とは思えないほど、
ダイナミックで、ドラマチックで、セクシーです。

このデザインを発表した頃、アフリカでは、
西洋列強による植民地支配からの独立を目指し、
各地で盛んに解放運動が展開されていました。

ですから、サファリ・ルックは当時、
アフリカ解放戦線の軍服を連想させる、
異端なものだったのです。

物議を醸し出すデザインをあえて採用して、
「解放と自由」という、時代のうねりをメッセージにし、
女性がワードローブを大改革する自由を提案した
当時32歳だったサン=ローランのウィットと勇気に、
改めて驚かされます。

実は、サン=ローランは1960年に、
アルジェリア独立戦争のためフランス軍から徴兵され、
兵役を務めていたことがあります。

戦地の光景と、不衛生で粗野な兵舎暮らしは、
繊細なサン=ローランの精神を害し、やがて、
神経衰弱のために「十九世紀のお化け屋敷のような」
精神病院に収容されることに。

hospitalサン=ローランが収容された
ヴァル・ド・グラース病院(Val-de-Grâce)

そこでサン=ローランは鎮静剤投与と電気ショック療法を受け、
退院直後には、体重は38キログラムにまで減り、
まるで抜け殻のようになっていたと伝えられています。

そのさなか、追い打ちをかけるかのような、
チーフ・デザイナーを勤めていた
クリスチャン・ディオール社からの解雇宣告。

ビジネス・パートナーであり、恋人でもあった
ピエール・ベルジェの献身的な看護と
経済的な支援があって復活できたとはいえ、
自身の辛い体験をファッションに昇華させて、
多くの人々に自由をまとう喜びを提供したことを考えると、
サン=ローランという人は、何としなやかで
強い心を持つ人だったのだろう、と偲ばれます。