「日本らしさ」で、世界の役に立つ

世界がグローバリズムをつきつめ、
自らの発展で自らの危機を招いている今、
日本の持っているものが役に立つのでは、と
強く感じています。

それは、日本の精神文化です。

例えば、「和をもって貴しとなす」。
あらゆるステークホルダーと
良好な信頼関係を築きます。
時には競合と手を携えて、
イノベーションを起こします。

例えば、「三方よし」。
事業に関わる、あらゆる人々に
恩恵と発展をもたらします。

例えば、「足るを知る」。
これ以上、モノを増やさなくても、
キャッシュがまわるビジネスの仕組みをつくります。

例えば、「侘びの精神」。
思いつく限りの行動で相手をもてなし、
それでも行き届かない自分を詫びることで、
相手への尊敬の念を伝えます。

例えば、「不易流行」。
時代とともに、変えていくものと守っていくものを持ち、
伝承していきます。

これは、あくまで一例に過ぎません。
西欧のグローバルスタンダードにない価値観が、
日本には、たくさんあるのです。

このような思想が根底に流れる
「ものづくり」「ことづくり」を、
世界が待っています。

日本人のひとりとして、そのような
長年この国が培ってきた共生共存の経営を自ら実践し、
発信していかなくては・・・と強く思います。

「より安く」「より早く」「より便利に」を疑う

グローバルスタンダードの「ものづくり」は、
技術進歩を加速させ、経済を刺激しました。

また、資源や労働力が豊富な新興国の発展も、もたらしました。

そのような経済成長は確かに、これまでは、
必要とされるもの応えようとする、
誠実な努力の形だったかのも知れません。

しかし、このままの勢いで
世界中の国々が経済成長を続けると、
どうなってしまうでしょうか。

地球の資源は枯渇し、汚染され、
ロボットにとってかわられた人々が失業し、
消費が冷え込み、健康被害が増え、
社会保障費は増え、
食糧や燃料がいきわたらない・・・

やがて、資源を巡って
紛争や戦争が繰り広げられる。

予想される、暗いシナリオです。

2050年には、
世界の人口は97億人になるといわれています。

この問題は、政治力だけでは解決しないでしょう。
小さな力でも、私たち自らの行動を変えていかなくては、
次の時代を幸せなものにすることはできません。

「より安く」「より早く」「より便利に」と、
同じ路線で経済活動をしていては、
この問題は解消しないのです。

限りある資源を大切にし、わかちあう。
自然との、共存の形を探る。
今こそ、新しいパラダイムへのシフトが必要です。

技術開発の背景にあるDNAの違い

現代の、とどまるところを知らない技術開発の進化は、
自然に対して人間が「手を加えること」によってこそ価値が生まれる・・・
という西洋哲学が根底に流れていることについて、
以前のブログで書きました。

そして、そのような技術のあくなき進化は、必ずしも
人の幸せをもたらすものになっていない
、とも書きました。

このままいけば、多くの人にとって
幸せも豊かさももたらさない技術開発が行われ、
やがては自然環境を破壊し、
人々の暮らしを破壊し、
「見えないもの」を大切にするという、
人の心の豊かさを破壊するのかも知れない。

そのように考えていたころ、
日経テクノロジーオンラインに、
興味深い取材記事が紹介されていました。

日本の家電メーカーが凋落した理由
アレックス社長、辻野 晃一郎氏に聞く | 日経テクノロジーオンライン

世界最高の性能と品質を実現した
日本の家電メーカーが、かくも凋落したきっかけは、
「インターネット」の出現にある、と辻野氏は語ります。

インターネットが存在しなかったオフラインの時代、
日本は耐久財だった家電の性能と品質にこだわり、
「メードインジャパン」という信頼のブランドを築き上げ、
多少高くても製品を買ってもらえる状況がありました。

しかし、インターネットがすべてを変えてしまった、
と辻野氏は言います。

インターネットが普及した後は、
発売の初期段階では品質にこだわらなくても、
ソフトウェアがインターネット経由で
アップデートできるようになりました。
だから、市場に出た後に製品が「進化」するのです。

日本のものづくりは、オフラインの時代に強みを発揮しました。
工場から出荷する段階で、完璧さを要求されたからです。
しかし、コンプライアンスを過度に気にかけ、
このスピードに対応しきれないため、今、
凋落の危機に瀕しているのではないか、
というのです。

また、辻野氏はGOOGLEでの仕事を通じて、
意思決定のスピードや企業トップのフットワークの軽さが
圧倒的であることに気づきます。

まさに、インターネットの時代に対応した組織運営が、
そこにはありました。

話は、戻ります。

日本のものづくりにおける経営は、
まるで農耕民族的です。
自然に寄り添うように地を耕して種を植え、
祈りとともに大切に育み、収穫の時を迎える。
長老のもと、根回しと和を大切にする。

一方、今のインターネットの時代に
隆盛を誇っているのは、
狩猟民族型の経営です。
必要な人間でチームを組み、
エサや罠を仕掛けて獣を待ち伏せ、追う。
狩りの中では、意思決定を素早くしないと、
獲物に逃げられてしまいます。

日本においても、社内公用語を英語にしたり、
雇用を流動化したり、能力主義の考課を導入したり、
といった試みは、盛んになされています。
しかし、農耕民族はどこまでも、農耕民族なのです。
付け焼刃的に、狩猟民族になることはできません。

日本のものづくりが岐路に立たされている理由の一つには、
農耕民族と狩猟民族のDNAの違いを知らないまま、
この戦いに巻き込まれているということがあるのではないでしょうか。

技術の高度化は、人を幸せにするのか?(2)

第三の道~インドと日本とエントロピー~」 に、
はっとする内容が載っています。

それは、ジェレミー・リフキンという人の、
「エクスターナル・コスト」の試算結果についての要旨です。

「エクスターナル・コスト(外部コスト)」とは、
企業が製品を製造、販売する過程で生じる
自然破壊や廃棄物の影響を金額にあらわしたものです。

Entropy-a new world viewJeremy Rifkin, “Entropy-a new world view”.
病院、農業、都市化、教育などの
「エクスターナル・コスト」の試算が載っている。

※リフキンは、カーター大統領時代のホワイトハウス・ブレーンの一人で、
政府のいろいろな経済企画や統計に直接タッチとていた人物です。

リフキンは、ひとつの病院をつくった場合、
治療を受け病気がなおり、生命が助かる人の数と、
その病院を作ったために病気になり、
死亡する人数との比率がどうなるかを計算しました。

そして、詳細にわたる調査の結果、
病院の治療で恩恵を受ける人よりも、
病院を建設し、運営していく過程で
被害を受ける人が多いことを、
リフキンは実際の数字で明らかにした、というのです。

まず、コンクリート。これは石灰岩の山を削るのだから多量の埃が出て病人が発生する。
次に鉄筋コンクリート用の鉄。これも鉄鋼山を掘るために、鉱毒が発生し、ここでも病人が出る。
しかも、それを運搬するために、多量のガソリンを消費し、炭酸ガスと窒素酸化物が、空気を汚す。
病院では、薬を多量に使用する。それには製薬工場で必要である。その工場をつくる。
薬をつくるには原料が必要である・・・・・・
こうして、ひとつの病院を作り、運営するのに、じつに多くの病毒がまき散らかされることになる。

糸川博士は、南部アフリカの砂漠に暮らす
ブッシュマンを例にとりあげ、彼らの方が、
日本人よりも圧倒的に少ない労働時間で、
かつ、病気も少なく健康であり、
余暇を十分に楽しんでいる、といいます。
サン人

最近、映画で有名になったブッシュマンは、ハンター・ギャザラ、すなわち狩猟採集生活をしているけれども、じつは一週間の間に仕事をしている時間は、十二時間から二十時間にすぎない。
今日のサラリーマンがレジャーといっいて、スポーツ、ゲーム、芸術、あるいはパーティを愉しんだりしている時間は、じつは週に四十時間という労働に支えられている。
ブッシュマンの場合は十二時間から二十時間の労働以外は、すべて「レジャー」にささげられているのだから、彼らは先進国人間より、はるかに優雅な生活をしているといえる。
また、彼らはもっとも健康な種族であって、病気の数は非常に少ない。
それは、医療の発達よりも、パンドラの匣(はこ)を開けたことによって、つまり、人間が技術というもの、テクノロジーというものを採用することによって、いろいろな副産物、汚染物を流しだす、この汚染物が新しく病気をつくっているという現代の一画を物語っているといえよう。

これまでの自然に対峙して人工物を次々と生み出し、
物質的な豊かさを謳歌するあり方から、
自然に寄り添って生きるアプローチへの切り替えを考えなければ、
人類は思いがけず破局を迎えることになるかも知れない・・・と
博士はメッセージを読者に送ります。

このメッセージを30年以上前に発信された博士の言葉が、
まるで最近のことのように当てはまっています。

技術の高度化、開発スピードはとどまるところを知らず、
枯れた技術だけでなく、人であるエンジニアまで捨て、
不況や為替変動などの理由でもない限り、
乱開発を加速させ、価格を下落させ、
市場全体の成長性、価値を失わせてしまっています。

それだけではなく、新興国での工業生産も加速し、
世界中での資源の乱獲は、
ますます環境への悪影響を増しています。

パソコンやスマホが普及する前よりも、
現在のほうが余程、忙しくなったと思うのですが、
皆さんはいかがですか?

テクノロジーの高度化によって、
人は本当に、幸せになったと言えるでしょうか?

技術の高度化は、人を幸せにするのか?(1)

日本は、第二次大戦後の焼け野原からの復興のため、
欧米にならって物質的な豊かさや経済成長を追求してきました。

欧米の経済に大きな思想的な影響を与えたのは、
ジョン・ロックとアダム・スミスといわれています。

ジョン・ロックは、自然について、
人間の手を加えないものは、まったく『無価値』であって、
手を加えることによって、はじめて『有用なもの』になる
と言いました。

その思想が広く受け入れられ、機械の時代が到来しました。
機械の時代、「より速く」「より便利に」と、
新技術が次々と生み出されました。

技術は、さらに新しい技術を生みます。
技術開発の流れはとどまることがなく、
開発の速度も速まっていきます。

結果、一つの技術が「有用」である時間は
短くなっていきました
先に生まれた多くの技術は捨てられ、
ゴミとなっていきました。

地球上の資源は、技術開発のために消費され、
あっという間に捨てられていきました。

資源は、不可逆すなわち、
いったん使ってしまうと、決して元の姿に戻ることはありません

そのことに思いを巡らせない資源消費のあり方はいつか、
地球にある限りある資源を消費し尽し、
やがて「破局」が待ち受けている・・・

だから、日本人は今こそ、インドの生活の中にヒントを見出し、
新しい暮らしの価値観や発展の在り方やを
模索していかなくてはならない・・・

糸川博士は、日本と世界の行く末を心配し、語りかけてきます。

「豊かさ」の本質を問い直す

ケースD ―見えない洪水―」では、
人々を脅かす世紀末の様子が描かれました。
あくなき利益の追求や経済成長が自然環境を汚染し、
結果、人類は大混乱に陥る。
糸川博士は、物語を通じて、私たちのあり方に警鐘を鳴らしました。

この小説をリリースしてから2年後の1981(昭和56)年、
糸川博士はインドを訪れています。

IMG_1385
「第三の道~インドと日本とエントロピー~」 糸川英夫 CBS・ソニー出版

博士がインドを訪れたのは、当時、経済発展の対局にあって、
自然に寄り添って歩むインドに、
日本が今後、目指す方向性についてのヒントを
見つけたいと思ったからです。

当時、インドの多くの人々は、
テクノロジーとはほぼ無縁の暮らしをしていました。

機械を使わない、人力が主体の労働。
大人と同様に働く、生産性の高い子どもたち。
動物たちとの共存・・・。
それらはことごとく、日本と正反対のありさまでした。

博士は、インドの人々の暮らしの中に、
環境に歩調を合わせて資源をむさぼらない
高度な文化を見たのでした。

BABYMETAL大ヒットの理由

いま、BABYMETALが音楽業界で
賛否両論、話題騒然となっています。

baby-metal-performs-2015-bb14-billboard-2016-650-1548(MARC PFITZENREUTER/REDFERNS VIA GETTY IMAGES)

この音楽は、メタルなのか、メタルでないのか?

ステージ先頭にいるのは、美少女アイドル。
歌はまるで、少年少女合唱団のよう。
横で踊るふたりの女の子は、天使のよう。

しかし、バックバンドはコープス・ペイント&白装束。
恐ろしく上手な筋金入りのメタリストたちが、
攻撃的な爆音を次々と繰り出していく・・・。

決めのポーズは、ヘヴィメタルでは定番の
悪魔のサイン(メロヴィックサイン)ではなく、
キツネの影絵、「キツネサイン」。

キツネの神様のお告げに従い、
世界征服を果たすため、
BABYMETALは今日も、
メタルレジスタンス活動を展開しています。

・・・少し前、「キモカワイイ」という言葉が流行りました。

BABYMETALはまさに「キモカワイイ」ユニット。
いえ、「カワキモイ」ユニットともいえるでしょう。

日本国内よりも、欧米を中心とした海外で火がつき、
メディアがこぞってとりあげ、大ブレイクしています。
歌詞はすべて、日本語なのに・・・

芸能事務所のアミューズ所属のプロデューサー、
KOBAMETALこと小林啓さんは、
大のメタル好きでした。
でも、全くと言っていいほど、
アイドルについて無知だったそうです。

そんな彼が、アイドルグループ「さくら学院」の
プロデュースを任されます。

自分がアイドルのプロデュースをやるなら、
メタルとアイドルを組み合わせられないだろうか・・・

そう思っていた時、SU-METAL(中元すず香さん)の
歌声と出会います。

彼女の歌を聞いた小林さんは、
「メタルアプローチの曲を、
少年少女合唱団が歌うようなイメージになる!」
と直感。
彼女をメインボーカルに据えたユニットを着想します。

さらに、SU-METALとは全くテイストが違う子たちが
周りで躍るイメージになるよう、
YUIMETAL(水野由結さん)、
MOAMETAL(菊地最愛さん)を起用。

かくして、2010年にBABYMETALは、
船出をしたのでした。

5月23日に発売された「週刊 東洋経済」によると、
ヘヴィメタルはニッチ市場ながらも、
全世界でみると一定の規模があり、
ファンがお互いに密に情報交換をする、
結束の強い市場と分析されています。

ここに来るまでに、プロデューサーはじめ、事務所の
緻密なヒット戦略があったのだと想像します。

しかし、もともとの出発点は、プロデューサー、KOBAMETALの
「自分が好きな分野で勝負したい!」という想いでした。
この「熱」がなければ、
どんな頭脳戦も乗り切ってはいけないでしょう。

メタル好きのKOBAMETALが
アイドルプロデュースを任されたとき、
メタルをあきらめなかったから、
BABYMETALの世界進出があるのです。

夢を、あきらめない。
たとえ、道なき道でも。

その勇気が、聴く人に伝わるから、
BABYMETALは大ヒットを更新しているのではないでしょうか。

糸川博士の近未来予測

糸川英夫博士は、第二次大戦中、
帝国陸軍の、隼(はやぶさ)などの戦闘機の設計にたずさわり、
終戦後は米国によって航空機の開発を封印される中、
ロケットに着目します。

1954(昭和29)年、在職していた東京大学に研究班を組織し、
20分で太平洋を横断する「ハイパーソニック輸送機」を提唱、
ロケットを砂浜で水平に飛ばすという画期的な実験を成功させ、
国産ロケット開発の礎を築きました。

しかし、とある新聞社から「東大はロケット開発をやめろ」
繰り返し攻撃され、スタートして10年後には、
ロケット開発から身を引くことに。

国内でのロケット開発を快く思わない
海外を中心とした勢力に圧力をかけられた、
という説もありますが、真相は闇に包まれています。

それでも潔く、「男が同じことをいつまでもやるもんじゃない」
と、バイオリンを研究、製造し、クラシックバレエを極め、
・・・と新しいテーマに邁進されるあたりが、さすが、糸川博士です。

そんな糸川博士が、匿名の識者集団「未来捜査局」と共同で、
20年後の未来を描いた小説を出版しました。
1979(昭和54)年のことです。

本のタイトルは、「ケースD ―見えない洪水―」です。

ストーリーは、1980(昭和55)年に始まります。

東京サミットの取材を終えた、とある新聞記者が
何者かによって、命を奪われます。

当時、生まれたばかりの息子・佐満人(さみと)は、
記者だった父のことを何も知らず、やがて成人し、
国連筑波大学に学ぶ学生になります。

そして、彼の成人祝いの会でもたらされた、
「あなたの父は殺されたのだ」という
父の友人からのメッセージ。

事件の真相を究明しようと、
父が遺した、焼け焦げた取材メモを頼りに、
父の友人・知人を転々と探し訪ねる佐満人。
しかし、接触を図った人々が次々と事故死、病死に見舞われ、
佐満人も路上で襲撃されます。

やがて、国家を超えた利権をめぐって
とてつもない計略があったことをつきとめた佐満人は、
このままいけば自然環境が深刻に汚染され、
人々の暮らしを脅かす最悪のシナリオ、
「ケースD」を迎える・・・と世の中に発表します。

この発表に、衝撃を受ける世界の人々。

人々は、マスメディアの情報を信じられなくなり、
世の中は大混乱に陥ります。
そこへ、折しも世紀末思想を利用し、
世の中を混迷させるカルト集団による
暴動が勃発・・・

ストーリーは、利権の支配する体制によって
地球環境が破壊され、人々の暮らしが脅かされる未来を描き、
利益のみを重視し、追求する政治経済のあり方に、
警鐘を鳴らすものでした。

小説が描く、沈鬱な近未来予測は
まるまるは当たらず、幸い、
21世紀は無事に訪れました。

それというのも、ミレニアムが近づくにつれ、
「持続可能性」という言葉が普及し、
地球や人の暮らしを守る技術や取り組みが
増えたことが大きいでしよう。

また、メディアへの信頼が揺らぐ
一連の事件もあって、情報リテラシーへの
人々意識の高まりにもつながりました。

糸川博士も、きっとあの世で
胸をなでおろしていらっしゃることと思います。

世の中には、解決が必要な問題が
まだまだ山積みです。

それでも、これまで私たちの生命をつないでくれた
先人の努力に感謝して、その恩返しの意味でも、
良いことの実現を描き、「不」のつくことを取り払って、
素敵な未来を創っていきたいものですね。

踊る糸川英夫博士

まだ、私が中学生の頃、
あの糸川英夫博士と会ったことがあります。

糸川博士は、広島市内のとあるホールで、
弦楽奏とクラシックバレエを披露されました。

糸川博士といえば、探査機はやぶさが
2005年に到達した小惑星イトカワの名前にもなっている、
日本で初めて打ち上げロケットを開発した重鎮です。

なのに、ホールでは、バイオリンやチェロを弾き、
白タイツ姿でステップを踊っていたのです。

押しも押されぬ著名な科学者がなぜ、
自らの開発実話ではなく、
弦楽奏やバレエを披露されにいらしたのか、
当時の私には全くの謎でした。

それでも、芸術に情熱を傾けるお姿を見て、
この方は「現在」を味わい、生きようとしているのだと
直感したのです。

その印象は、まだ幼かった私の記憶に、
とても強く残りました。

失敗の本質

日曜日は、私が事務局を務めている
技術系勉強会の面々と緑地公園に向かい、
「バーベキュー大会」を開催しました。

サラダの材料とフルーツ缶詰、マシュマロを用意し、
清泉 「七代目」 純米吟醸の一升瓶をたずさえて、
自宅を出発!

エンジニア&識者の方々に混ざり、
大いに食べ、そして久々に深酒をし、
くつろいだ一日になりました。

陽がふりそそぐの緑鮮やかな公園での語らいのひと時は、
いつもの宴会と違って、開放的な気分を味わうことができます。

お蔭さまで、普段の会ではなかなか気づかないことに
思いを馳せるきっかけを頂きました。

それは、
失敗に学ぶ
ということでした。

これまで、多くの日本メーカーが経営危機を迎え、
経営の主導権が海外へと奪われていきました。

それを、経営者の責任、あるいは、時代背景、
と端的に言ってしまえば、簡単に済むのかもしれません。

しかし、
一連の失敗には、何らかの法則性があるようだ。
だから、徹底的に原因を分析して、
同じ轍(わだち)を踏まないようにしなければ

と思えてきたのです。

前職在籍中に、とある役員の方から教えて頂いたひと言が
印象に残っています。

それは、
「アメリカという国は、日本と違って、
昔から自国が起こした失敗の原因を”徹底的に”調べ上げ、
二度と同じ過ちを起こさないように対策を施しているそうだ」
という言葉です。

組織の失敗原因を徹底して調べるということは、
属人的に、特定の人に責任を負わせるのでなく、
また、限られた情報のみに触れるのでなく、
わかりやすい結論に飛びつかない、
ということでもあります。

今こそ、日本メーカーの失敗の本質を
”徹底的に”見極め、体系化し、
広く共有すべき時期です。

同じような悲しい涙が流されないように、
私もこれからは意識して、
「失敗の本質」への理解を深めていきます。